恋するように旅をして 角田光代(著)

恋するように旅をして 角田光代恋するように旅をして    
講談社文庫 角田光代 (著)


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HPやブログをやっている人なら、とーぜんでしょ?ていうのが
アマゾンの広告を貼り付けることだと思うけれど、
まあ実際に自分にお小遣いが入るかどうかはびみょーな問題だ、
というこはさておき(笑)、ばばんと本やCDの表紙コピーを
載せて、自分のお奨めの本やらCDを紹介するのって
格好いい気がする。というわけで、今回は一度やってみたかった
本のご紹介です。もちろん先日手に入れた本、、、ね(笑)。

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この本は、一度でもバックパッカー旅行をやってことがある人にお奨めしたい本。

この人、実は私自身なんじゃないの?と思うくらい、この人の描写が
以前旅したとき、私が思ったこと、私が見たこと、実際に体験したことに
似たり寄ったりしているので、びっくりした。もう15年以上も昔のこと
なのに、急にあの旅の想い出が鮮やかによみがえり、この本を
読んでいる間中、私は、自分の旅の想い出に浸っていた。
みんなも、実際にこんなことを思いながら、旅行を続けているのだろうか。

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夏休はもう直前なのに、私にはなんの予定もなかった。
お金もあまりない。そんな頃、「私、中国のシルクロードに行ってみたい
んだけど、一人じゃ行っちゃだめ、って親に止められているんだ」
という友人がいた。へえ、シルクロードねえ、それがどんなところか、
昔テレビでみた砂漠一帯?くらいにしか知識がない私だったが、
なぜかその話に飛びついた。どーして飛びついたのか、
そのところの記憶はまったくない。

その頃、関西一帯の学生が中国へ行く、といえば、神戸港から出る
「鑑真号」という船にのっていくのが主流だった。だが、
すでに夏休み直前、ということもあり、船の予約は一杯で、
唯一可能だった、大阪 - 長崎 - 上海と飛行機を乗り換えて、
中国に入ることになった。

上海国際空港に到着した瞬間、

「来なければ良かった」

と、後悔したことを今でも鮮明に覚えている。
なぜかそこに意味もなく座っている人が皆、自分のことを見ている
ような気がして、突然怖くなってしまったのだ。
同じアジア人なのに、この人たちは何故私のことを見るのだろう?
どうして私が異邦人だということが分かるのだろう?
そして一体、この人たちは空港の窓縁に座って何をしているのだ?

その恐怖は、国内線に移ってますます巨大化した。
私たちはその日、上海からシルクロードの入り口、西安まで
飛行機で一気に飛んでしまう予定で、国内線に移ったのだが、
これが先程の国際線とは比べ物にならないくらいオンボロ、
しかも人が山のように群がっていて、皆が皆、自分のことを
見ている(ような気がするのだ)。

それでも無事飛行機は飛んだらしく(記憶がない)、西安に無事
到着した。その日の夜は、学生にしては不釣合いだが、
唯一日本で予約できる「ハイアット西安」を予約していたので、
なんとなくボラれたような気がする交渉車に乗って、ホテルに
到着した。さすがはハイアット、とても美しく、ここだけが
日本に繋がっているような、そんな気がし、部屋の中から
怯えるようにして、外の混沌とした様子を眺めていた。

明日はここを出て、あの混沌の中に入っていかなければ
いけないのだ。ああ、何故こんなところに来てしまったのだろう。
カナダに行った友人は?イギリスに行った○○くんは?
あの子はアメリカでホームステイか、、、いいなあ。。。
西欧に向かった他の友人のことを考えては、自分の不幸さを
呪いたくなる勢いだった。

翌日は、ノロノロとホテルを出て、ガイドブックに載っている私たちに
釣り合ったホテルに出向き、そこに宿泊することにした。
ああ、ここからは、本当に生きて帰れるのか?そんな風に
思っていたかもしれない。とにかく「旅を楽しむ」どころではなかった。

…が。しかし。

実際には、絶望的に思ったのはこの日が最後で、その次の日には
やはり関西の大学に通うというバックパッカー上級者の女の子
に出会い、色んな情報を手に入れることができた。
次の目的地、敦厚まで行くチケットを手に入れることもできたし、
美味しい、本当に美味しい中華屋さんに一緒にいくこともできた。
同じホテルに泊まっている日本人の学生何人かで、
片っ端から食べたいものを頼んで食べても、一人100円くらい。
外の屋台では美味しいメロンは大玉一個30円くらいだし、ぶどうは5円?
学生身分で、普段、大した料理を食べていなかった私には、
急にここが天国のように思えてきたことを覚えている。
とにかく美味しかった。私たちが毎日やってきては、ものすごい量
を注文し、すごい勢いで食べるのを見て、そこのオーナーや
他のお客さんたちは、皆、にこにこしていた。時には必死に
会話を試みようとしたり、筆談をしてみたり。
通じそうで全然通じないのがオカシイ。

その後、敦煌やトルファンなどを訪れたが、結局、毎日毎日
何かしらの日本人に出会い、一緒に観光に出かけたり、買い物をしたり。
時には同じドミトリーの部屋に泊まったこともあった。
毎晩連れたって中華料理を食べに出かけ、大抵皆で盛り上がって、
夜中の1時や2時くらいまでビールで酒盛り。
ビールだって1瓶40円くらいだった。

着いた当初は怖い、と思っていた人々の目も、そのうち、
全然慣れてしまって、日本語で「わーわー」と話しかける程になっていた。
私が「わーわー」と話すと、周りを取り囲んでいる人たちも笑って
「わーわー」と私の真似をする。何が面白いんだろ、
冷静に考えるとよく分からないが、なんだか可笑しい。
結局、皆で「わはは」と笑う。

あー、楽しいなあ。

最初は恐ろしく、怖がっていた自分だが、そのうち楽しくなり、
その魅力にどっぷりハマッてしまった、そんな旅だった。

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今まで、ずーっと忘れていたけれど、この本を読んでいる最中、
この旅行のことを考え続けた。すっぽり忘れている記憶もあるけど
なんだか鮮明に覚えていることもある。作者の描写で急に
思い出したこともある。そーなんだよね、、、うんうん。

本を読み終えた後、あの旅行のアルバムを見てみたい気持ち
になって、本当に何年かぶりにアルバムを取り出してみた。
大したカメラを持っていかなかったこと、あの頃はデジカメなんか
なく、取り直しが全然効かないこと、もあったんだろうか。
なんだか何を撮りたかったんだか、、、ピンボケの写真が多い。
もっと、すごい、何もない荒野の写真でも撮っていれば、と
思うが、結局そういう「何もない」風景は難しいのかもしれない。

写真を見て、一つ驚いたことがある。
あの時、着ていた服は、中国旅行でぼろぼろになってその後、
捨ててしまった気がするのだが、なんと、写真に映っていた
一着は、いまだに愛用している長袖Tシャツなのであった。
そうか、この服は、もう15年以上も昔からあったのか。
そして、あの中国大陸の内陸地まで一緒にいったのか。
最近さすがにくたびれてきているが、せっかくあんな遠くまで
出かけたTシャツだもの。これからも大事に着よう。
アルバムを閉じて、一人可笑しく微笑んだ。
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Comment

ゆうこ | URL | 2008.08.27 23:14 | Edit
おお、旅話!そらさんは学生時代に中国行かれたんですね~。私はアジア好きだったのにも関わらず中国は避けていました。だって余りにも広すぎて何処に行ったらよいのか...(笑)

宿を取るにも電車の切符取るにも「没有(メイヨー)!」で頭に来る事ばかりだったって知り合ったバックパッカー(確かスエーデン人のカップルでした)が愚痴っていたような。そらさんは良い旅ができて良かったですね♪

私も旅エッセイは好きで良く読んでいましたが、角田光代さんの本はまだ手にした事ないです。そらさんのお小遣い稼ぎにポチッと押してみちゃおうかなあ、うふふ。
sora管理人 | URL | 2008.11.26 03:36 | Edit
☆ゆうこさん、

ごめんなさい。返信すごく遅れました。
コメントいただいていたのは知ってましたが、
読んだのは今!!しかもお小遣い稼ぎにぽちっと
協力、、、なんて、うれしいこと書いてあったのに~…!
すみません!!

まあ、お小遣い稼ぎは、、、横においておいても、、、
この本、バックパッカー経験者なら、自分の旅がダブって
懐かしい旅行を思い出すきっかけになりますよ!!
少なくとも私は…この後、しばらく昔の旅行の思い出に
浸っていましたもの!!

そうそう、メイヨーね。どこでもかしこでも聞きました。
今でもそうなのかしら?!中国は劇的に変わったと聞くし、
もう私が見た風景はどこにも残ってないのかしらね?!
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