がんばれ、ナターシャ


オーストリアで誘拐され8年もの間監禁され、先月無事保護
されたナターシャ・カンプシュさんのインタビューが昨日
テレビで報道されていた。このニュースはオランダでも連日
大きく取り上げられており、昨日も彼女のインタビュー全部が
特集となって報道されていた。

私はご飯を作りながら、、、時折画面を覗きにテレビの前に
たった程度なので、どのような話だったのかは定かではないのだが。。。

彼女の姿を見て、驚いた。
「8年間もの長い間」「監禁」「狭い部屋(この部屋の様子も
もちろんテレビ報道されている)」「異常な男との同居」、、、
こういった単語から想像する彼女の姿は、哀れで、疲れ果てて、
落ち着きがなく、容貌もやせこけているか、どこかに一部(虐待に
よる)あざがあるか、、、などなど、とにかく「悲惨な姿」、いや、
もっとひどくいうと「私たち一般人とは違う哀れな姿」しか
想像できなかった。ところが、テレビに映し出された彼女の
姿は私の想像のどれも当てはまらないほど、美しく、目も澄んで
きれいで、洋服もその全体像も女優さんのように素敵だったのである。
座っている姿もしゃべっている姿も実に知的で落ち着いていて、
彼女がカフェにでも座っていたら間違いなく誰もが振り返る
くらいなのだ。私の中で想像していた「哀れなナターシャ」の像は
完全に打ち消され、悪夢から生還した「力強い女性」の姿がそこにはあった。

もちろん。彼女の心は、大変な問題を抱えていることであろう。
「ストックホルム症候群(異常な状況下、犯人に同情や連帯感を
持つこと)」という深刻な心理現象が見られるという。無理もない。
監禁されて、外にも出られず、たえず異常な男がすぐ後ろで監視して
いたら、、、どんなに鉄のように強い精神だって壊れてしまう。
それでも彼女はいつか自由になる日を夢見て、そして最後に逃げ出す
ことに成功したのだ。

もしこの事件が日本で起こっていたとすると、18歳の少女の姿は
もちろん、名前さえ知りえないことであろう。被害者(少年犯罪の場合
は加害者さえ)のプライバシー云々の関連で(しかし、一方で大事な
情報は隠しておきながら、マスコミや情報掲示板などで、あること
ないことを噂され、結局隠れていることは難しいのだが)。
私は別に被害者の名前を知りたいとも思わないし、プライバシーも
大事だと思う。だけど、今回、このオーストリアの少女を実際に
テレビで見て、目に見えない情報だけで想像し、自分で勝手に
判断してしまうのは、現実を知ることとはまったく違うのだな、
とつくづく思った。日本で、このインタビューが報道されたのか
どうかは知らないけれど、もしされていないのならば、ぜひ報道
してほしいと思う。日本で起こった事件ならば絶対実現するはずのない
被害者が語る言葉なのだから。

10歳から18歳という夢のように楽しい少女時代をある一人の男に
よって壊されてしまったナターシャ。もうこの時代は戻ってこない。
悲惨ではあるけれど、テレビに映る彼女を見て、彼女ならきっと
大丈夫。失われた8年を嘆き悲しんで生きていくのではなく、
これからの未来を生きていけることだろう、と思った。
がんばれ、ナターシャ。

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