オランダは何故強いのか

次にアップするときはすでにオリンピックも終わっていて、
オリンピックのことを再び言及することはあるまい…
と自分では考えていたのですが、どっこい再びオリンピック記事です(苦笑)。

今回のソチ。
オランダのスピードスケートがやたら好調ですね。
現在のところ、全ての種目でメダルに絡み、金も4つ。
金銀銅のメダル独占が2つ、と…いったいどうしちゃったの?という強さです。
しかも…メダル独占のうち1つは、今まで苦手とされていた
短距離男子500mでの独占。
今までだったら考えられなかった快挙にオランダ中が歓喜に沸いています。

何故オランダは強くなったか。
色んな理由はあると思うけれども、私なりにいろいろ考えてみました。

もともとオランダはスピードスケートが大好きな国。
特にスピードスケートというかスケートマラソンは国民スポーツと
いってもよく、冬に運河が凍ると、そこら中でマラソン大会が開かれます。
距離もさまざまで30キロ~200キロまで(!)。
一番有名なのは、エルフステーデン・トホト(11都市周遊マラソン)。
これは一日で200キロ強を走り抜けるという大スケート・マラソンです。
最近はなかなか運河が凍らず、この大会もずっと開かれていませんが、
この大会が開かれるとなったら、たぶんオランダ中の人々が会社を休み、
その日は仕事にならないほどの熱狂ぶりなのです。
今年はとても暖かく、運河が凍る気配はまったくないので、
オランダの会社が開店休業になることはなさそうですが…。

このようにスピードスケートは国民に親しまれているスポーツなので
日本のようにオリンピックのときだけしか注目されない状況とは
少し違います。
オランダでは、オリンピックイヤーでなくても冬になれば
スピードスケートの記事がどんどん出ますし、いい選手が出てくれば
そのつど話題になる土壌があるのです。

しかし、それだけ国民に親しまれたスピードスケート競技といえど、
今までこれほど強かったことはありません。
特に長野五輪より前は、女子はメダルを取れる選手が1人いるか、
はたまた0かの薄い選手層で、男子も金メダルを確実に取れる選手は
いなかったのです。

それがいったいどうしてこれほど強くなったのか。

考えられる理由の一つとして、オランダの不況があるのではないでしょうか。
…オランダのスピードスケートは他国に比べて、スポンサーがつきやすい国
とは言えますが、近年の厳しい経済状況はスピードスケート選手にも
多大な影響を与えています。

オランダでは、1995年にリツマ選手がプロスケーター第一号となり、
スピードスケートが「商業スポーツ」化しました。
現在は50名以上の選手が5、6チームあるスポンサー企業に所属しています。
最近は毎年のように1~2チームのスポンサーが撤退するため、
そのたびにそのチームに所属している選手やコーチはは新たなスポンサーを
見つけなければいけません。
日本のように特定強化選手に予算が出るわけではないので、
スポンサーを見つけられなければチームが解体してしまうのです。

金メダル確実の(というかすでに二人ともひとつずつ取っている)
オランダの王者クラーマーと女王ヴストが所属しているTVMも
スポンサー契約はこのオリンピックまで。
それ以降は白紙状態です。

この厳しい状況は、選手やコーチに
「最低でもメダルを取っておかないとオリンピック以降は浪人生活」
という危機感を与え、それがいい意味でチームの奮起に
繋がっているのではないでしょうか。

考えられる理由の二つめとしては。
単純に、彼らの「強さを追及する姿勢」にあるのではないかと
私は思います。

強さとは…

金メダルを取れる強さ。
世界新記録を出せる強さ。


オランダ人は強い選手が好きです。
彼らの報道を見ていると、その選手が何人であろうと強ければ尊敬に
値する、という姿勢が常にあります。

たとえば、日本の清水。

彼はかつて金メダルを取り、世界新記録も保持した世界最速男でした。
びっくりしてしまいますが、オランダで「SHIMIZU」を知らない人は
いないのでは?というくらい有名人なのです。
まぁ…実際にはオリンピックもスピードスケートも興味ない、って
いう人はたくさんいるので、そういう方々はSHIMIZUを知らないかも
しれませんが。

今回も、双子のムルダー兄弟がメダルを取った翌日の新聞に
「なんとSHIMIZUとムルダー兄弟は誕生日が同じなのだ!」という
記事が載っていました。私なんぞ…だから何なんだ?と
ツッコミを入れてしまいましたけどね。
かつての英雄と今の英雄が同じ誕生日、ということはオランダ人
にとって特別で言及するに値することのようです。

どうやったらこの選手はこれだけ速く走ることができるのか?
彼らの報道は常にそのことに注目しています。
それは…単純に強さへの憧れがあるからこそ、なのですが
結果的に持ち得た豊富な情報がオランダ人選手の強化へ導かれて
いるのではないでしょうか。

例えば、五輪プログラムに関連して、スピードスケートの特集が
たくさん組まれていますが、オランダ人でもない選手にスポットを当て、
延々とその選手の特集をしているのにはびっくりします。

アメリカ人のシャーニー・デービスは以前オランダ企業が彼の
スポンサーだったこともあり、よく特集されています。
どういうトレーニングをしているのか、金メダルを取ることに
重要なことは何か…そういった内容を延々と追及する番組。
他国の選手なのに、よくまあここまで特集できるなあ、と
私なぞは、びっくりしてしまいます。

ドイツのアンニ・フリージンガーも隣国ドイツの選手なのに人気あります。
彼女はオランダ人の金メダリスト・スケート選手と結婚し、オランダに
住んでいることもあり、よくメディアに登場します。

最近は、韓国も大いに注目されています。
日本人に絶対エースがいなくなってしまい、オランダメディアの目が
韓国に向いてしまったことは悲しいことですが、今回も
ダントツの強さを見せた李相花選手は賞賛のまなざしです。
韓国メディアはスピードスケートについてどう報道しているかetc.
細かい点までよくもそこまで…と呆れるほどの徹底取材です。

もちろん、自国の選手への注目はそれ以上です。
オランダでとても人気ある(元)スケーターの1人、
マリアンヌ・ティメル選手。

彼女は、10代で出場した長野五輪では伏兵だったにもかかわらず
千メートル、千五百メートルで金。一躍ラッキーガールに祭り上げられました。
特に美人だったこともあって、日本でも話題になりましたね。

彼女はその後、どん底のスランプに陥り、次のソルトレークシティ
ではどの種目も惨敗。

しかし、その後、スランプから脱し、次のトリノでは再び金メダルを
手にします。彼女は涙を流して「最初の金メダルもうれしかったけど、
今回は特別うれしい。」とコメントしていました。

結局彼女はオリンピックで金メダル3つを取ったわけですが、
これは、たまたまではなく、やはり彼女の中に金を呼び込む強さが
あったから、と考えられています。いくら練習で速くても
本番でメダルを取れない選手はたくさんいます。
オリンピックで金メダルを取るということは、速いだけではダメで
別の強さも必要なのだ、そこがオランダメディアの追及する点です。
そして、そのことを身を持って知っているのは、実際に金メダルを
取った選手だけ。当たり前ですよね。

今は、ティメルを始め、長野五輪のメダリストたちが続々と引退し、
コーチ、アシスタントコーチ、メンタルコーチになっています。
この豊富なコーチ陣が自分たちが体験したことを現選手に伝授し、
オランダの各チームがよきライバルとしてしのぎを削っている…
それも今回の強さにつながっているような気がします。

そう考えると…。
何故、日本の金メダリスト清水は接骨院なんかやっているんでしょうか。
彼自身に問題があるのか、日本スケート連盟に問題があるのか…
その辺りのことはちょっと分かりませんが、彼の金メダリストとしての
実績を重視することが出来ない日本の現状は寂しい限りですね。
ちなみに清水ははプロスケーター化を提唱し、自ら第一号となった日本人。
それが疎外される原因となったのか分かりませんが…
商業スポーツ化20年でこれだけ強くなったオランダと現在の日本を
比べると…何とも皮肉としかいいようがありません。

あと…やはり前回からの続きのようなコメントになりますが、
残念な結果しか残せなかった日本人選手ばかりを特集しているようでは
やはりメダルは遠いような気がします。

何故ダメだったのか?という敗因を探すことも大切なことですが、
それよりも何故この選手はこれほど強かったのか?という勝因を追及しなければ、
世界に追い付くことはできないのではないでしょうか。

以前、NHKスペシャルで金メダルを4つも取っているジャンプの王者
シモン・アマン選手の特集があったようですが、こういう特集を
どんどん組んで、強さの秘密を追及していって欲しいです。

<追記>
本日1500mもメダル独占しました。
次の1万は最初からメダル独占が予想されているいるので、
まだまだ金メダルラッシュが続きます。いくらなんでも強すぎ…です。

これを書いた後に分かったことですが、今回、ライバル国である米国は
開発した新スーツが不調ということで、メダルにまったく届かない
惨敗続きなのだとのこと。一方、オランダももちろん新スーツを
使用していますが、こちらは絶好調です。

さらに、スプリント距離(500m~1500m)でより早く周回できるテクニックを
取得したため(どのようなテクニックなのかは定かではない)、
メダル独占につながったとの記事が載っていました。

元々スラップスケートを開発したオランダ。
1秒でも早く走るための取組みは選手の日々の努力だけでなく、
いわゆる「スピードスケート」オタクな研究者たちの日進月歩の
取り組みも大いに関係し、それが今回の強さにつながっているようです。



line_10.gif

ブログ村ランキングに参加しています。
下記の画像バナーどちらかをぽちっとクリックしてくださるとうれしいです heart3.gif

クリックしてね♪ありがとう♪
にほんブログ村 子育てブログ 海外育児へにほんブログ村 海外生活ブログ オランダ情報へ

いつもありがとうございます。

オランダ情報はこちらから → オランダ情報ブログランキング
海外育児ブログランキングはこちら → 海外育児ブログランキング

ソーイングブログランキングはこちらから↓
にほんブログ村 ハンドメイドブログ ソーイング(縫い物)へ
にほんブログ村
関連記事

Trackback

Trackback URL
https://oranda.blog.fc2.com/tb.php/967-e71c5ab2

Comment

Rietje | URL | 2014.02.14 05:57
清水さん、お店出してるんですねー
調べてみたら札幌駅前!
今度札幌帰ったら寄って見たくなりました〜美容系もあるみたいだし(笑)

昨日の荻原次晴さんの号泣シーンを見てたら、、、アスリートは引退しても競技に重〜い責任を持たされているんだなーと、、、日本のマスコミはメダル!メダル!うるさ過ぎ〜!! ウインタースポーツはルールがわかればものすごく面白いのだからそっちに力を入れたらいいのになぁーって思います;^_^A
Anne  | URL | 2014.02.14 12:51 | Edit
スピードスケート見ました!
そんなに盛んなんですね!もちろん私はオリンピックの時だけ!しかもたまたま見たって感じです。
オランダの人って本当に背が高いから、腰を低くするスポーツは大変そう!女性もかなり背が高いですよね!

そうそう、日本人より海外の方の方がよく知ってるってありますね。
私はモータースポーツ、特にバイクも好きで、ノリックってライダーが亡くなった時に、日本ではちょっと報道されただけだし、周りで知ってる人もいなくて何となく寂しかった。ライダーとして凄い人だったのに。それがスペインに行ったら、宿泊したところのおばあちゃんがノリックのことを悲しんでてくれいて、さすが!バイクレースが盛んなスペインって思ったもの。

そういえば日本ってアスリートのその後はやっぱりちゃんと道筋がないらしいですね。
そらのくも | URL | 2014.02.15 19:46
☆ Rietjeさん、
お店だしたときの記事をたまたま見たので、覚えていました!
今度東京進出もするのだとか、、、。
金メダルと美容系…なんだか全然結びつきませんが(苦笑)、
そこはひとつ何か重大な関係が隠されているのかもしれません。
是非、偵察してきてくださいませ(笑)。

私、日本の五輪テレビは見てないけど、どっちにせようるさすぎて
見続けることはできないと思う…苦笑。

オランダのスピードスケート見てると、ただ走るだけのスポーツでも
こんな奥が深いのか?と思うから、採点競技なんかは
点数加点方法やルールなど、いろいろ説明がないとさっぱり分からないですよね。

オランダもスピードスケートに関しちゃ、世界一流だけど、
スノボとか、、、アナウンサーも素人?って感じになってますね(苦笑)。
そらのくも | URL | 2014.02.16 19:47
☆ Anneさん、

オランダのスピードスケートは盛んですよ。
ともかく解説が詳しいので、皆プロ並みの知識です(?!)。
先日、たまたま素足に靴をはく選手の姿が見えたので
「えー、この人たち、靴下はかないの~?」と言ったら隣で娘が
「うん、みんなそうだよ。それが普通だよ。」といいつつ
そんな常識も知らないの~?という目で私も見ていました。
(普通知らないだろ、、、と私は内心思ったのですが…汗)

Anneさんがお好きなサッカーもかなり理論立てて解説しますね。
前半が終わると、前半のポイントがすぐに挙がってきて、
ボールさばきからの攻撃がどうの、、、と矢印つきで解説しますし。
日本はそういう理論解説は、夜のスポーツコーナーまでお預け
だと思うんで(昔は少なくともそうでした)、やっぱり速いな、
と思いますね。

オランダもサッカー選手を辞めたあと、すぱっと事業家になっちゃう
ような方もいますが、たいていの方はなんらかの形でかかわっていくんじゃ
ないかと思います。日本のアスリートやコーチってサラリーマンや
学校関係者が多いので、流動が激しくない…というか、結果にかかわらず
その人々がその地位を占めてしまっているので、いい結果を出しても
新規参入が難しかったりするのかもしれませんね。


>
> そういえば日本ってアスリートのその後はやっぱりちゃんと道筋がないらしいですね。
Comment Form
公開設定

プロフィール

そらのくも

Author:そらのくも
オランダ生活も15年目に突入しました。

(ご案内)
オランダ情報は「そらのオランダ通信」でお届けしています。是非ご覧ください。

↓ ↓ ↓

photoeurope2.jpg

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
写真のこと
当サイトで使用している写真と文章の無断転載はお断りしています。


情報


line_10.gif
line_10.gif

ブログ村ランキングに参加しています。
下記のお好きな画像バナーどれかをぽちっとクリックしてくださるとうれしいです 。

heart3.gif クリックしてね♪ありがとう♪
にほんブログ村 海外生活ブログ オランダ情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 花・園芸ブログ イングリッシュガーデンへ
にほんブログ村
気になる本
オランダ生活に役立つ、今、自分が欲しい本を載せています(いわゆる備忘録)。



前回載せておいたフランス菓子は買おうと思ったら絶版になっていた。。。うそ~…!絶版になるのが早すぎる。今度こそ…。

ブログキーワード別カテゴリー

オランダ お出かけ 街並み ヨーロッパ 子ども 旅行 ガーデニング カフェ ハンドメイド ミュージアム 洋服 ショップ ソーイング本 オランダの話題 自転車 カメラ ロッテルダム 庭園 教育 レストラン 学校 ニュース 子育て オランダの食材 スーパー 日本語教育 オランダサッカー 国際結婚 英語学習 おうちのできごと 

ブログ記事カテゴリー
最近のコメント
メールフォーム
ご訪問ありがとうございます♪♪
ブログ・HPの感想はこちらまで↓

mail-pen2.gif
ブログ内検索
ご訪問ありがとうございます
現在の閲覧者数: 現在の閲覧者数:
Flag Counter